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隼という名のエンジンオイル使用感

2023年4月4日

隼オイルについて色々調べましたがネット上に情報がないため、筆者の感想を忘備録として纏めました。また、SP規格GF-6でHTHS粘度3.1(5W-30基準)という性能を持つ「隼エンジンオイル 0W-20 SP」を使用したことを切っ掛けにVHVIやPAO,エステルなどの基油について調べた結果をまとめます.

株式会社ヨロストホームページより引用https://www.yoro-store.com/product.php?id=8747

FA20D エンジンの特徴

TOYOTA 86&BRZはFA20エンジンの自然吸気ならではの心地よい吹き上がりとフィーリングが楽しさの1つでもあります.このフィーリングを活かすにはエンジンオイルが重要なファクターであると考えています.

FA20エンジンにはFA20DとFA20Fの2種類が存在し86&BRZに採用されているのはFT20Dです.
最高出力(kW[PS]/rpm):152[200]/7,000(AT)
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):205[20.9]/6,400-6,600(AT)
両者ともアメリカの自動車誌Ward’s Autoがアメリカ国内で販売されている量販車に搭載されるエンジンの年間トップ10である「Ward’s 10 Best Engines」として2016年度に選ばれるなど高い評価を得ているエンジンなのです.

開発時のコンセプトが「誰でも楽しめるスポーツカー」として、大パワー大トルクで走るのではなく安全なスピード域でドライビングを楽しめる車となっています.
ゆえに,トラクションロスなどを最小限に抑えるドライビングテクニックやセッティングが重要となる上、フリクションロスを押さえるためにもエンジンオイルの特性が大きな要因になるのではないかと考えます.

筆者が考えるFA20 のエンジンオイルに求める詳細な内容は下の記事をご覧ください。

隼オイル

日本製高性能エンジンオイルの力をぜひ実感してみて下さい。

ハイスペックエンジンオイル「隼」は 日本車の特性に合わせて,どんな運転環境でも車両の最高パフォーマンスを実現.日本のエンジンオイル専門メーカーから研究開発された高性能エンジンオイルです. 高速走行時も優れた潤滑性能と密封性能を同時に発揮! ドライバーに最高の走行経験を提供します.(https://www.yoro-store.com/product.php?id=8747 より引用)

販売元・製造元

販売元は自動車整備用品を販売する会社で有名な株式会社ヨロストさんです。
ペール管に製造元の記載が無かったので、恐らくヨロストさんのオリジナルではないでしょうか。

隼エンジンオイル AMAZON

0W-20 SP(エステル+VHVI)100%合成油

今回は冬場でもあり純正指定の0W-20としました.
FT20は自然吸気で高回転まで気持ちよく回るのが魅力なのですが,高回転域ではオイル切れ(ピストンの動きにオイル補給が付いて行けない)が問題となります.

純正指定が0W-20という事はシリンダーとピストンとのクリアランスが超シビアであると考えられる上,オイルポンプに余裕を持った設計が行われていないと考えられます.よって,オイル粘度はあまり上げない方が良いのではないかと判断し,私はタウンユースがメインであるため5W-30や5W-40ではかえってオイルポンプやエンジンに負担がかかるのではないかとの結論に至りました.

株式会社ヨロストホームページより引用https://www.yoro-store.com/product.php?id=8747

高純度エステル

GroupⅤの高純度エステルが使用されているそうです.エステルは金属にくっつきやすい性質(極性効果)があり,ドライスタート(十分なオイルがシリンダーなどに付着しいていない)の防止効果が期待できます.半面,水による加水分解が起こりやすいなど配合が難しという難点があるそうです.

超高粘度指数 VHVI

ベースオイルの分類規格の1つであるAPI規格ではVHVI(Very High Viscosity Index)はGroupⅢに分類されており抜群の安定性と耐久力が特徴です.VHVIは鉱物油を高度水素分解精製された高粘度指数鉱物油であり,厳密には化学合成油ではありませんが,米国や日本など多くの国で化学合成油の表示が許されています(ヨーロッパは不可).

VHVI(Very High Viscosity Index)

鉱物油を原料として高度水素化分解(ハイドロクラッキング)した化学合成油で粘度指数が120以上のものを一般にVHVI油と呼ばれてます.
API規格GroupⅢにはより高性能なGroupⅢ+(グループ3プラス)があります.その中でY6は粘度指数125以上ですがY6+(プラス)は粘度指数140以上あります.これは粘度指数のみで比較すると、GroupⅣのPAOと同程度です.
純粋な化学合成油ではないなどの批判もあるようですが,比較的安価なうえ他の添加材との相性(安定性)が良いそうなので基油としてのポテンシャルの高さが感じられます.

粘度指数

粘度指数(ねんどしすう、英語: viscosity index、略称:VI)は、潤滑油の粘度の温度依存性を表す物性値。数値が大きいほど温度による粘度変化が小さいことを示す。
現行の方式では指数は、40℃における動粘度と100℃における動粘度の値から計算される。(Wikipediaより引用)

動粘度

粘度は、毛管粘度計など、細い管のなかを自重で通過する速度(時間)によって比較できるので、絶対粘度を密度で割った動粘度(動粘性係数ともいう)が指標として用いられる。 \nu ={\frac  {\mu }{\rho }} (Wikipediaより引用)

PAO(ポリアルファオレフィン)

API規格GroupⅣに分類され,石油からナフサを分留したエチレンを化学的に分解合成し,分子量を一定にしたもので化学的な安定性が非常に優れており、重合度を調整することで幅広い粘度を比較的自由に作れるほか,せん断性にも優れているそうです.
安定性が高いためエステル系や添加剤ま混ぜて基油として使用されているが,近年ではAPI規格GroupⅢをブレンドして全合成油や合成油として使用されています.
ただ、他の添加剤との相性が悪い場合があるため配合には高い技術と経験が必要だそうです.

注意としては、分子量が小さいためにパッキンなどのシールドやゴムに変性を来す恐れがあります.
ちなみに、PAOは縮小を来しエステルは膨張に注意を要するそうです.

強化モリブテン

エンジンオイルに使用されるモリブテンには個体である二硫化モリブテン(MoS2)と液体の有機モリブテン(MoDTC・MoDTP等)がありますが,隼オイルは色から判断して有機モリブテンではないでしょうか.

いずれにしても金属面に被膜を作りエンジン内の摩擦低減効果が期待できます.

二硫化モリブテン

モリブテンは金属であり,灰色かかった黒色だそうです.微粒子ではありますが沈殿や目詰まりなどの心配がある他、オイルの色が黒くなるため近年ではエンジンオイルにはあまり使用されなくなったそうです。

有機モリブテン

化学合成で精製された液体のモリブテンで沈殿せずオイルの色も黒くならない為,近年ではよく使用されているそうです.
モリブテンは温度が高くなると硫黄と結合して二硫化モリブデン(Mo+2S=MoS2)となって作用するそうです.
ただし,エステルに入れると極性の関係で効き目が落ちるなど基油(ベースオイル)の相性にも左右されるためバランスが重要という事です.

FA20には重要なLSPIとSNPlus(SP)

有機モリブテンはLSPI対策(低速早期着火)対策にも有効です.

近年の燃費性能向上などでエンジンがダウンサイジングされたことにより高圧縮化されているうえ直噴など燃焼方法も変化しています.

LSPIはスーパーノッキングと呼ばれ,直噴エンジンで起きる異常燃焼で加速時に発生しやすいそうです.
燃料の燃えカス,飛沫オイル,燃焼室に付着したカーボンなどによりプラグ着火前に着火してしまうことが原因だそうです.よってスラッジ対策としてエンジンオイルに高い洗浄効果が求められ2018年にSNPlus規格が誕生しました.

2020年以降は新しい規格としてSP規格,GF-6規格となって「チェーン摩擦対策」も加わっています.

FA20は筒内直噴+ポート燃料噴なのでLSPI対策が取られたSP規格またはGF-6規格のエンジンオイルを選ぶ必要性が理解できました.

株式会社ヨロストホームページより引用https://www.yoro-store.com/product.php?id=8747

HTHS粘度(高温高せん断粘度)

HTHSVとは自動車用エンジンオイルの高温高せん断粘度(High Temperature High Shear Viscosity)のことである。(Wikipediaより)

Wikipedia記事を解りやすく纏めてみました。
エンジンオイルには高分子ポリマーを添加して粘度指数の調整が行われているそうです.
油音が高くなれば粘度の低下が起きるのですが,高分子ポリマーが膨らんで流動抵抗を増してオイルの粘度低下を防ぐそうです.しかし,オイルが煽動部の狭い間隔でせん断を受けると高分子ポリマーが変性して粘度低下が生じます.軽度なストレスであれば油音の低下と共に粘度も復活するのですが,過酷な場合は高分子ポリマーが破壊されて復活できなくなるそうです.これが「熱ダレ」と呼ばれる現象でエンジンの焼付きや過大摩耗に繋がるそうです.
通常のオイル粘度は40℃と100℃で測定した数値ですが,HTHSは150℃で測定するそうです.通常の油温は100℃以下なので150℃の条件下って過激ですね.

エンジン保護の基準は2.6以上で,通常の0W-20では2.6程度だそうです.
注意として,HTHSが高いオイルは粘度が高いので燃費は悪くなります

隼エンジンオイル 0W-20 SPの使用感

以前,使用していたモリドライブのSilent+も静かで滑らかな走り心地でしたが,「隼」はSilent+と比べてさらに滑らかです.Silent+では5W-30を使用していましたので,一概に比較することは出来ませんが,エンジンが軽くなったと言う表現が適切ではないでしょうか.
Silent+と比べて若干価格がお高いですが,音も静かで申し分ないと思います.
低粘度オイルはLifeを心配される方も多いと思いますので,走行距離ごとの感想を列記します.
ただし,本記事での使用期間が2023年1月~3月の冬場なので季節変動を加味してご参考程度でお読みください.

エンジン始動時(気温7度程度)

毎日、通勤で使用しているためエンジンOFFから8時間程度は経過しており完全に冷えている状態です。
所謂、コールドスタートです。

実に滑らかでエンジンからの雑音もなく、始動から数秒で自動アイドリング(2000rpm)に移行します。
2000rpm程度でもエンジン音は滑らかで心地よい排気音が聞こえます。

交換直後(アイドリング3分後から10km走行)

エンジン音
モリドライブSilent+との差は感じられませんでした.

走行感
実に滑らかで,車が軽くなった感じです.Silent+で3000km走行後からの隼オイルへの交換だったので,純粋にフィーリングを比較することはできませんが,3000kmのオイル劣化と5W-30から0W-20へのオイル粘性を加味しても明らかに違いがあります.

500km走行後

エンジン音
実に静かです.信号での停車中などでは周りの音に溶け込んでしまいエンジンがかかっていないみたいです.
アイドリング時にガチャガチャ音(タイミングチェーンが当たっている?)が時折聞こえていたのですが,消えました(伸びたチェーンが縮むことはないですが).

走行感
3500回転からのモッサリ感は有りますが(当然ですね)3500回転までと4500回転以上の吹け上がりは実に滑らかです.
購入時に販売店のメンテナンスパックで交換して貰っていたTOYOTA純生オイル(キャッスルオイル?)とは全然違いますね.

1000km走行後

エンジン音
500km走行時よりも更に静かになった気がします.エアコンファンの音や車高調からのノイズまたはブレーキ音が気になってきました.

走行感
500km走行時と全く変化はありません.

2000km走行後

エンジン音
1000km走行時と変化は感じられません.

走行感
交換当初の感覚(感動)が薄れてきて,今の感じが当たり前というような慣れが出てきました.
交換直後の感動的な滑らかさは無くなり,低粘度オイルの宿命とも言うべきの若干の雑味が出てきた感が有ります.
しかし,吹き上がりが悪くなったとかの感覚は無いので,3000kmまでの使用に不安は感じません.

2100km走行で交換

左:新油 右:2100km走行後

3000kmまで使用する予定でしたが,季節が春めいて来たので別の事を試みたくなり,オイル交換することにしました.
左が新油で右の画像が2100km走行後です.
かなり黒くなっているので、洗浄効果も高そうです.
背景が黒いので判り難いですが、透明感は残っています.

粘性はそれなりに落ちていますが、0W-20なので仕方がないと考えます。

廃油はかなりガソリンの匂いがしていましたので、ブローバーイガスの混入が多い印象です。
0W-20ではなく3W-30でも良いのかも判りません。

隼 エンジンオイル 5W-30 SP AMAZON商品リンク

エステルの効果?

エンジンオイルをドレンから抜いて驚いたことは,一通り抜いた後、20分経過してもまだドレン穴からオイルがポタポタと摘下し続けていました.
他のオイルでは10分も経過すればオイルの滴下は止まっていたのですが…

エステルの吸着効果でしょうか,ドライスタート時でも安心できますね.

あとがき

隼オイル0W-20の使用感を忘備録として纏めました.
大切な愛車のオイルはご自身で納得の上ご使用ください.

ブログ,,86&BZR

Posted by よっしー