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【初級】エンジンオイルの基礎知識

2021年1月2日

最近の車の説明書を見ると,エンジンオイルの交換は10,000kmまたは1年ごとに!と記載されています.本当にそうなのでしょうか,5000kmも走ればオイルは真っ黒です.また.どのようなオイルを選ぶのが良いのでしょうか.
愛車に最適なエンジンオイルについて考えました.

エンジンオイルの役割

エンジンオイルはエンジンの潤滑油で,オイルパンからエンジン内の各所に送り出されています.
潤滑油の役割は次の5つです.
・潤滑
・密封
・冷却
・洗浄
・防錆

潤滑

エンジンのシリンダー内ではピストンを始め,クランクシャフトやカムシャフトなどが1分間に数千回転の高速運動をします.そのために生じる金属同士の摩耗や焼き付きなどを軽減するためにオイルで潤滑する必要があります.

気密

シリンダーとピストンは完全に密着していれば動けないため,わずかな隙間があります.しかし,気密が不十分だと燃焼によって作られたエネルギーが隙間から逃げてしまいパワーロスやブローバイガス排出の原因にもなります.
エンジンが古い場合,シリンダーやピストンが摩耗しており,この隙間が広くなっている傾向にあります.その場合は,粘度(SAE規格)の高いエンジンオイルを用いる必要があります.

冷却

エンジン各部は燃焼や摩擦によって,とても高温な状態になっています.エンジンは金属でできているため,性能を発揮するためには適正な温度を維持(熱膨張や収縮)する必要が有ります.
エンジンオイルには,これらの高熱を冷却する役割も担っています.エンジン各部を回り熱を吸収したオイルは,オイルパンに戻り冷却されます.

洗浄

エンジンは燃焼や回転によって,スラッジと呼ばれる汚れが発生します.このスラッジが溜まると,エンジンの性能や寿命を低下させます.これらの汚れが特定の場所に留まらないように自ら汚れを吸着したり,分散することも重要な役割となっています.
エンジンオイルが黒く汚れていくことは,洗浄作用が正常に行なわれていることの証です.

防錆防食

エンジン内は燃焼により高温な状態になっています.そのために外気との温度差による水分が発生しやすく錆の原因になります.そのためエンジンオイルは,これらの錆の発生を予防することも重要な役割の一つとなっています.また,ブローバイガスやエンジンオイルそのものの劣化による化合物も腐食の原因になるため,これらの発生を防止する役割もあります.

エンジンオイルの規格

カー用品店を訪れると多くの種類のエンジンオイルが並んでいます.そしてオイル缶には意味不明な記号が…

引用:TAKUMIモーターオイル

品質規格

ガソリンエンジン用は「S」で始まる「SL」や「SM」と記載され,最近は新たな高品質規格として「SP」も登場しています.
ディーゼルエンジン用は「C」から始まる「CD」や「CF-4」などと表示されています.
ガソリンとディーゼルの両方に使用できるユニバーサルオイルでは「SM/CD」のように両方の規格が表記されます.

2020年5月以降は低燃費性や直噴エンジンで懸念されるLSPI(低速早期対策)やタイミングチェーンへの効果なども規格に組み込まれています.

API規格とILSAC規格

アメリカ石油協会(American Petroleum Institute)がエンジンオイルの品質を定めた規格のことで,ガソリンエンジン用オイルなら「SA」~「SP」までのグレードに分けられディーゼルエンジン用オイルなら「CA」~「CJ-4」までのグレードに分類されています.

国際潤滑油標準化認定委員会(International Lubricant Standardization Approval Committee)がAPI規格の「SH」以上のグレードを基に「省燃費性」を定めた規格のことで「SH=GF-1」「SJ=GF-2」「SL=GF-3」「SM=GF-4」でしたが,2019 年には「SN=GF-6」が加わりました.

粘度による規格(SAE規格)

アメリカ自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)が定めた規格で,「5W-20」などとあります.これはオイルの低温時での粘度と高温時での粘度を表したものです.前の数値(5W)が低温時での粘度で、「5W」の「W」とは、ウインターを表しており,この数値が小さければ小さいほど「低温時でも柔らかいオイル」であることを意味します.朝一のエンジンの始動性が良いことや,低粘度のため燃費が良いなどの効果が期待できます.

後ろの数値(20)は高温時での粘度で、数値が大きければ大きいほど高温時でも硬さを保ったオイルであるということで,スポーツ走行などをする場合に向いています.

高温時規格に注意


走行距離が長い経年車などはシリンダーとピストンが摩耗により隙間が広がっている可能性がありますので,硬いオイルで隙間を埋める必要があります.また,ブローバイガスを防止する役目も期待できます.
しかし,あまり硬いオイルを使用するとオイル自体が摩擦になる可能性がありますので,スポーツ走行時でもメーカー指定よりも1~2ランク程度大きい規格に抑える必要があります.

ベースオイルによる違い

ベースオイルは製法により,「化学合成油」,「部分合成油」,「鉱物油」の3種類に分類されています.

化学合成油・全合成油・合成油

一般的には化学的安定性の非常に高いPAOに粘度抵抗の小さいエステル系を一部混ぜたものを基油として用いることが多く,100%エステルと宣伝表示されていても,一般用途の100%エステルのオイルは存在しない.
鉱物油を化学分解して尚且つエンジン洗浄と環境を考えた添加剤を化学合成させた良質なオイル.成分や分子量を一定にしたもので,コストは高いがあらゆる条件化において安定した高性能を発揮します.

全合成油・合成油
グループIIIベース,またはPAOにグループIIIをブレンドしたものを全合成油合成油と表示される事がある.近年流通している安価な全合成油・部分合成油の多くは基本的にこのグループIIIベースであるといわれています.
(グループⅢ基油に関しては末尾をご参照ください)

部分合成油・半合成油

鉱物油や高度水素分解油にPAOやエステル(あるいは水素化分解油)を混合したベースオイルで,経済性と性能を併せ持っているが,耐熱性能などは化学合成油には及ばない.

鉱物油

原油を精製する過程で得られるもので,一般的に普及しているベースオイル.分子量などが揃っていないため,組成が破壊され易い.

まとめ

安価なオイルをこまめに交換すれば良い!などの意見を良く耳にしますが,間違いの様です.
安価なオイルは安定性など基油としての性能が劣ります.また,洗浄成分や添加物が少ないため,潤滑の問題も生じます.その上,洗浄成分が少ないので,デポジットなどの汚れが蓄積します.
ファミリーカーならともかく,86&BRZは楽しむための車なので,愛車のためにはお財布と相談しながらできる限り良質なオイルを入れるのが良さそうです.

附則:グループⅡ基油

ハイドロクラック、水素化精製油、HIVI( High Viscisity Index)や高粘度指数基油等と呼ばれます.このグループⅡまでを鉱物油と記載しますが,一部のメーカーでは合成油と記載することもあります.
下記のVHVIとの区別が重要です.

附則:グループⅢ基油

高度水素化分解(ハイドロクラッキング)などの改質を行ったものをVHVI( Very High Viscosity Index )・超高粘度指数基油・グループIII基油と呼んでいる.これを,従来からのPAO系やエステル系と同様に化学合成油と呼ぶかについては論議は分かれており,メーカーにより呼称は異なっている.グループIII基油は部分的な性能はPAOに匹敵もしくは凌駕する面もあり,また比較的安価である事から利用が増えている.(引用:ウィキペディア)

附則:PAO

PAO(ポリアルファオレフィン)は工業的には石油から分留したナフサ,もしくは天然ガスから得たエチレンを合成することでαオレフィンとし,それを重合することで成分や分子量を一定にしたもので,重合度を調整することで幅広い粘度を比較的自由に作れる.鉱油に比べると低温流動性,せん断安定性などが安定しており,鉱油に比べ製造コストは高いものの合成油としては比較的低コストで大量生産が可能な点,鉱油と同様に無極性の炭化水素で鉱油からの置き換えも行いやすいなどという点から,エンジンオイルにおいて(グループIII基油を除き)一時は最も多用される化学合成油であった.(引用:ウィキペディア)