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ミッションオイルとデフオイルを考える

2023年12月1日

TOYOTA86(ZN6 / ZC6 )後期MTの走行距離が9000kmになったので、ミッションオイルとデファレンシャルギアオイル(LSD)をZN6 / ZC6 専用に開発されたビリオン オイルズ(BILLION OILs) のTL-70とRF-375に交換した結果、シフトフィールがヌルッ!スコッ!っと劇的に改善したので、備忘録として記載します。

BILLION OILs ホームページより

ZN6/ZC6のAISIN製TL70型トランスミッション

私の86(ZN6)は2019年製(アプライドH)です。(2017年製アプライドDのATから乗り換えました)
走行距離6800kmで中古購入し、3か月が経ったのですが、個体差なのか運転スキルの問題なのか、2速への入り辛さがハンパ無いのです。
温まってくると少しはマシになるため、それまではシフトアップでも2速はダブルクラッチで繋いでいます。2速3速4速でもゴリッという音とともに嫌な感触がシフトノブに伝わって来て、なんとも不快。購入したディーラーに相談したのですが、担当者いわく「86はこんな感じです!」…しかも、「10万キロまでオイル交換は不要です」とのこと。

これでは埒が明かないとGRショップに相談したところ、「ミッションオイルで少しは改善されますが、根本的には無理です」との事でした。

私も、オイルだけで解決する問題ではないことは解っていますが少しでも改善出来れば…という期待を込めて交換することにしました。

オイル選定

純生オイルでは現在の状態から大きな変化を期待することはできないと考え、社外品を検討しました。
候補は順にGB シンクロシフトⅡ(¥4,400/0.94L)、BILLION TL-70(¥13,800/2.2L)、NUTEC GEAR75w90(¥7,700/2L)、MOTUL MULTI DCTF(¥3,800/L)、WAKOS RG7590(¥6,000/2L)となりました。

ZN6/ZC6のミッションオイル量は2.2リットルです。
20,000kmまたは2年に1回交換するとして、余ったオイルの再利用は劣化の問題から困難である上、1リットルずつの購入では0.8リットルの廃棄となり不経済です。
そこで、ZN6、ZC6専用に開発されて容量もピッタリの2.2リットルで販売されているBILLION OILS TL-70に決めました。

BILLION OILS TL-70(86/BRZ専用マニュアルトランスミッションオイル)

TL-70はコンペティションの2種類が設定されていますが、コンペティションはLIFEが70%だそうです。私はレース活動を行っていませんので、普通のTL-70を選択しました。

以下はBILLION OILSのホームページからの引用です。

開発現場から

TL70型ミッション に完全適合する ミッションオイル は、かなり難しい・・・・・。

開発を スタート させた直後に、本気で悩みました。

なぜなら、低温域にて、TL70型ミッション 最大の難関である1、2速の入りを良くするには、低粘度の オイル を使用しなければならない。しかし、その粘度で、サーキット をはじめとする スポーツドライビング を行うと、今度は油温の上昇により、カンタン に2速の入りが渋くなってしまいます。反対に、サーキット 走行にて、快適に2速へ入るように、少しでも粘度を上げると、コールドスタート 時に、1、2速の入りが悪くなります・・・。

要するに、常温から超高温まで(弊社が行った サーキットテスト での油温は、110~135℃)、「究極の シフトフィール を実現する」という目標は、かなり ハードル が高いものでした。

そこで、この「シフトの入りには、どのような要因が関与するのか?」といったことを粘度の部分だけではなく、あらゆる方向から、潤滑油の スペシャリスト たちと強力なタッグを組んで、ひとつひとつ テスト を行い解明していきました。

まず、十数 アイテムにおよぶ他社製品の比較から テストはスタート。

ベースオイルの選択では、オイルの種類(たとえば、一言で エステル油といっても、かなりの種類があります)、配合 バランスは、もちろん、ときには質量や分子量まで変化させて シフトフィールを確認。また、徹底的な粘度指数へのトライに、既製の パッケージ添加剤ではない独自配合の添加剤群の使用。そして、絶妙の シフトフィールを生み出した最新鋭の増摩擦剤(摩擦係数調整剤)との出会い等々、気が付けば、2年以上の歳月が経過していました。

このように、時間的な リミットを設定することなく、「解からないことは、解かるまでやってみる」、「変化があれば、必ずその理由を理解する」といった、まさに、“コスト度外視”による開発にて、BILLION OILS TL70 ミッションオイル は、誕生しました。

油温に影響されることなく、低温域から高温域まで、変化しない

「究極のシフトフィール」

この性能がどれほどまで、ドライバビリティを向上させるか、ぜひ、みなさんに、お試しいただきたいと思います。

そして、田中ミノルの「執念」を感じ取っていただければ、幸いです。

増摩擦剤(摩擦係数調整剤)について

ミッションオイル にとって重要なことは、摩擦係数を低減させ、潤滑性能を向上させることだけではありません。なぜなら、摩擦係数が低過ぎると シフトチェンジ にて、ギア を同期させることができず、ギア が入りにくくなってしまうからです。よって、ミッションオイル には、油膜がある程度薄くなると「摩擦係数を上昇させる」といった性能も必要となるのです。

この摩擦係数の変化を「指を机の上で滑らせること」で、表現するならば・・・、

たとえば、机の上に、一滴の水があり、

その水滴の上に指を置き、そのまま前方に滑らせると、

(1) 最初、指は軽々と机の上を滑る

(2) 一定の距離を移動すると、少し重くなる

(3) 大きな抵抗とともに、指は完全にストップする

といった動きになると思います。

これを潤滑油的に表現すると、

(1) 机と指の間には、厚い油膜(水膜)が存在するので、摩擦が少ない

(2) 油膜(水膜)が、徐々に薄くなり、ある程度の摩擦が発生

(3) 油膜(水膜)が、完全になくなり、大きな摩擦が発生

となります。

そして、マニュアル トランスミッション にて、シフトフィール を向上させるには、上記② の状況が、安定して継続することが、大きな ポイント となります。要するに、油膜が一定 レベル まで薄くなると、ある程度の摩擦を発生させ、もし、それ以上に油膜が薄くなった場合は、反対に大きな摩擦を発生させることなく、潤滑させることで、同じ摩擦のままキープさせることが、重要となるのです。

机と指でたとえるなら、②の状況から、油膜(水膜)が薄くなっても、③の状況に移行せず、ずっと②の状況で、キープ し続けることが ポイント となります。

(指の動きは少し重くなりますが、その後、そのままの重さで動き続ける イメージ です)

そこで、この性能を確保するために登場するのが、増摩擦剤(摩擦係数調整剤)となります。 この添加剤の仕事は、油膜がある一定の薄さになると、摩擦を発生させ(増摩擦)、その後、油膜がより薄くなっても、それ以上、摩擦が強くなることを抑制(摩擦調整)し、同じ摩擦を キープ することです。

右のグラフのように、この添加剤がうまく機能すると、シフトチェンジ において、安定した摩擦を発生させることができますので、シフトフィール が大幅に向上するのです。

また、増摩擦剤(摩擦係数調整剤)の配合により、たとえ油膜が薄くなっても、摩擦係数を一定に維持する効果がありますので、シフトフィール の向上だけではなく、「ギアを守る」といった部分にも、アドバンテージ があります。

ライフに関して

BILLION OILS TL70は、100%化学合成による ベースオイル の使用、耐せん断性の向上、そして、ハイレベル な摩擦係数調整剤の使用により、一般的な ミッションオイル と同等、または同等以上の ライフ を維持します。

また、ミッションオイル に配合されている各種添加剤は、走行により消費されますので、少しでも ギア の入りが悪くなったと感じた場合は、オイル 内に残っている添加剤量が十分ではない可能性がありますので、交換の目安として下さい。

なお、短時間でも、150℃以上 の環境にて使用された場合は、たとえ新しい オイル をご使用になっていても、添加剤は一気に分解して ライフ を迎えますので、必ず交換して下さい。

※ サーキット 等の連続走行により、油温が130℃を超える状況が継続する場合は、オイルクーラー の装着をおススメします。

デフオイル選定(RF-375)

ZN6/ZC6はトルセンデフが純生採用されています。
トルセンデフは機械式のLSDと摩擦の利用方法が違うためあまり潤滑(滑り)は必要ないのでは…と考えています。そのため、オイルの性情でトルセンデフの能力が大きく左右されると考えます。
BILLION OILSでは機械式LSD用、オープンデフ用、トルセンデフ用のラインナップが用意されています。
ZN6/ZC6のデフオイル量は1.3リットルです。
ミッションオイル同様1リットル単位の購入では0.7リットルが無駄になるため、ZN6/ZC6専用のオイルをチョイスしました。

以下、BILLION OILSのホームページから引用しました(https://www.billion-oils.com/product/fr-375.html)

BILLION OILS FR-375 は、機能、性能のすべてをトルセンデフのみにフォーカスした、トルセンデフ専用オイルです。長期間におよぶ開発テストにより、トルセンデフへのオイルマッチングを徹底解析しましたので、トルセンデフのメリットを最大限に引き出し、そして、トルセンデフのウィークポイントを最小限に抑制するロジックがギッシリ詰まっています。

FR/4WD (リアデフ)トルセンデフ 専用 オイル を開発するにあたり、
我々が目標としたテーマは、

  • ○油温変化に対して、LSDの効きが大きく変化しないこと
  • ○コーナーの立ち上がり区間で、安定したトラクションがかかること
  • ○アクセルOFF状態での「曲がり」に優れていること
  • ○ストリート&ワインディング でも、快適に使用できるスペックであること
  • ○サーキット走行においても、各種ギア、ベアリングをシッカリ守れること

以上の5つです。

開発をスタートさせた当初は、「いかにして、トルセンデフの効きを強くするか」という方向にターゲットを絞り、油膜の厚い高粘度タイプのオイルを中心に、テストを繰り返しました。

しかし、高粘度タイプのオイルでは、油温の低い走り始めこそ、強力なトラクションが得られるものの 油温がほんの少しでも上昇すると、そのトラクションは、大きく変化してしまいます。特に、コーナーの立ち上がりでは、一瞬トラクションが発生した直後に、一気にトラクションが抜ける(LSDが滑る)ことからドラテクが、うまく活用できません。

また、高粘度タイプでは、トラクションと同様に、アクセルOFFでのLSD ロックも強くなることから、コーナーへのアプローチで、左右の回転差をうまく作り出せず、アンダーステアを誘発してしまいます。

そこで、BILLION OILS FR-375 は、これら開発テストの結果を元に、機構的な要因で決まってしまうトラクションの強さではなく、温度変化によるトラクションの変化量をいかに抑制するかという方向にシフトして開発を進めました。

まず、ベースオイルは、摩擦調整剤(増摩擦剤)を低温域~高温域まで、安定して効かせるため「せん断」に非常に強い低粘度タイプを採用。そして、摩擦調整剤もトルセンデフの特性に適合するものを抜粋し、油温が変化しても、トラクションが大きく変化することなく、安定してトルセンデフを作動させる専用オイルを完成させました。

もちろん、「曲がる!」「曲がらない!!」に大きく関与する アクセルOFFでのLSD ロックに関しても、低温域~高温域まで、大きく変化することのない 優れた「曲がり」を実現。

まさに、トルセンデフの特徴に合わせ込まれ、そして、ドラテクに完全リンクしたFR/4WDトルセンデフ 専用 オイルの登場です!

ベースオイル

FR-375 独自の配合となる 化学合成油と高度精製油(グループⅢ)をブレンドした部分合成油をベースオイルに採用しました。
(成分構成は、製造工場との「守秘義務」により、公表ができません)

添加剤

摩擦調整剤
(増摩擦剤)
トルセンデフのロックを向上 & 安定させる添加剤です。
温度、圧力により、大きく変化する摩擦係数を安定させます。
SPパッケージリン、硫黄を中心とし、極圧性の向上をメインとした添加剤群です。
高温、高負荷の状況下でも、各種ギア、ベアリングを確実に守り、
ロングライフを実現します
清浄分散剤耐熱仕様の無灰型分散剤を使用しています。
(スラッジや、各種添加剤を均一にオイル内に分散させます)

※上記以外にも、数種類の添加剤が、使用されていますが、製造工場との「守秘義務」により、公表ができません。

オイルセット

トランスミッションオイルとデファレンシャルオイルは一緒に交換するのがベストです。BILLION OILSからはセットでも販売されており大変便利です。

・RF-375:トルセンデフ用
・RF-740:機械式LSD用(ストリートたまにサーキット)
・RF-760:機械式LSD用(ストリートも意識したサーキットより)
・RF-780:機械式LSD用(サーキット重視)
・RF-355:オープンデフ用

使用感

BILLION OILSを扱っているショップは少ないですが、今回はタイヤ館堺北店で交換をお願いしました。(自分で交換するには専用工具が必要です)

2023年11月27日に交換してまだ100kmしか走行していないため完全に馴染んでないと思います。が、温まってからのフィーリングは明らかに変わりました。

追記(感激!)

2023年12月6日に交換後約500km走りました。
オイルがギアに馴染んで来たのか、400kmくらいからシフトフィールが格段に良くなりました。
ガリッ、ゴリッという嫌な感覚からヌルッ!スコッ!っという素敵な感覚に変わりました。
1速から2速または3速から2速の入り辛さは有りますが、回転数を慎重に合わせることでヌルッと入ります。(個人的感想です)

気持ちよくシフトを繋ぐことが出来るので、気分も良く走りも爽快になりました。
まさに、ドライバビリティの改善です!

この感覚がいつまで続くのかLIFEが心配ですが、追ってご報告します。

LSDの変化に関しては私には判りません!悪しからず!

ブログ,,86&BZR

Posted by よっしー